ワンちゃんの皮膚病には、様々なことが要因として考えられます。たとえば普段のお食事や服用しているお薬、使用しているシャンプーの成分が原因になっていた、ということも。
また、居住環境はもちろんのこと、お散歩で実際に歩いているコースの状態、さらにはそのお散歩の頻度さえもお肌に影響を与えることがあります。
当クリニックでは、これまで9000頭に及ぶワンちゃんの皮膚病治療に携わってきた経験をもとに、様々な視点から最善の方法を飼い主さまにご提案してまいります。
その際に大切なことは飼い主さまのご協力、そして私たちとの信頼関係です。ご提案した方法を、十分ご理解いただいたうえで実践していただくことは、症状の改善を図るうえでとても重要なことです。まずは飼い主さまに納得していただける説明をさせていただくよう注力しています。
また、症状によっては、根気強く、長い期間取り組まなければ効果を感じられない場合がございます。長い治療を続けていく中でゴールが見えてこないのは本当に辛いことです。ポジティブで、有効な情報を積極的にお話しするよう心がけ、時間がかかっても飼い主さまが諦めることなく続けていただける方法を、ご一緒に考えてまいります。
皮膚病にかかってしまった要因として様々なことが考えられますので、ワンちゃんが普段食べている物や飲んでいるお薬の種類、生活環境の様子、お散歩やシャンプーの頻度などはもちろんのこと、いつも過ごしている場所はフローリングなのかカーペットなのか、シャンプー剤の種類は何か、お散歩ではどういったコースを歩いているのかなど、より細かな部分までワンちゃんの情報をしっかりとお伺いしています。
そのため、初診時には長めにお時間をいただいていますのでご了承ください。一見同じ場所に発症した同じ病気に見えても、実は違う皮膚病だったという場合も多々あります、場合によってはお薬を用いることなく、食事内容やシャンプーを変えることで皮膚疾患を改善させることができる場合もありますので、些細なことでも遠慮なくお話しください。
最近はアレルギー持ちのワンちゃんが増えています。食事が発症の引き金となることもありますが、ノミ、ダニの死骸やダニの糞などを含んだ粉塵によるハウスダストが原因のアレルギーを持つ子が多いように感じます。
しかし、ご自宅の粉塵を全て取り除くのはなかなか難しいこと。治療は抗ヒスタミン剤などの処方に加えて、シャンプーを控えるようご案内しています。
もちろん、通常であればワンちゃんの体を洗っても問題はありませんが、アレルギー持ちの子に関しては、ワンちゃんの体表面の皮膚バリアを崩さないようにすることが大切なので、ときには治療に年単位必要となる場合があります。皮膚治療の中でもより根気強さが必要です。
たとえ完治が難しくても、生活への支障をできるだけ下げて、普通の生涯を送れる程度にまで症状を緩和することを目指し、症状をコントロールすることであれば不可能ではないと考えています。まずは1度ご相談ください。
当院では皮膚病のお薬を錠剤ではなく、粉薬(ワンちゃん毎にお作りしているオーダーメードのお薬)にしてお渡ししています。 粉末にすることで体重に応じた薬の量をミリグラム単位で綿密に計算して処方することができ、ワンちゃんの負担を最小限に抑え、病状に対してより適切な量を与えることができると考えるからです。
また、お薬がなくなる前に、服用してからの様子を伺うために再診していただくようご案内しています。 調子が良くなってきたのに強いお薬をあげ続ける必要はありませんので、様子を見て、お薬を減量したり種類を変えるなど、ワンちゃんのお体にかかる負担を少しでも軽減できるよう心掛けています。
季節による湿度や気温の変化に伴って、皮膚病の発症度合いも変わってきます。ジメジメした梅雨シーズンなどは皮膚病が出やすく、そういった時期が過ぎると程度の差はあるものの症状が落ち着く場合があり、それを「治った」と勘違いされる飼い主さまは少なくありません。
しかし、病院に行かずに放っておいてしまうと、翌年の梅雨の時期に再び発症してしまい、それを繰り返すことでどんどん症状がひどくなり、慢性化してしまう恐れもあります。
一見治ったと思われても、きちんと動物病院で診察を受けていただき、必要な治療を施すことが大切です。早期に治療を行うことで結果的に費用や期間も軽く済みますので、飼い主さまご自身で判断してしまわず、早めにご相談ください。